
日本初の実用免震ビル
「技術研究所管理棟」
1980年、まだ世間では関心が低かった「免震技術」の実用化に向けた研究に、他社に先駆けて着手しました。以後、1986年に日本初の実用免震ビル(免震建物)である奥村組技術研究所 管理棟(茨城県つくば市)を、翌1987年には東京都内に日本初の免震マンションを完成させたことを皮切りに、「免震のパイオニア」として全国各地で数々の免震建築の実績を重ねています。

技術研究所管理棟
免震建物とは
-
「免震建物」に使用する免震装置には、「支承」と「ダンパー(減衰装置)」があります。この2つの装置を組み合わせることで、地震時に建物がゆっくりと揺れるようになり、建物の損傷や家具などの転倒を防ぎます。「支承」は、建物を支えるとともに、しなやかな弾力を利用して、建物が水平方向にゆっくりと穏やかに揺れるようにする役割を果たします。そして「ダンパー」は、地震による建物の揺れをすみやかに収める役割があります。各種の「支承」と「ダンパー」から、その建物の用途・規模に応じて最適な性能の免震装置を選択します。また奥村組では、金属製の転がり支承と積層ゴム支承という複数の支承を組み合わせた『ハイブリット型免震システム』を開発し、より高い免震性能を実現しました。
- 主な免震装置
-
-
積層ゴム支承
-
弾性すべり支承
-
鋼製ダンパー
-
オイルダンパー
-
- 一般構造の建物と免震建物のちがい
- 竣工30年目!日本初の実用免震ビルによる自由振動実験
-
免震広告
2016年に竣工後30年目の免震性能を確認するため、建物自体を人工的に揺らす自由振動実験(免震実証実験)を行いました。実験結果は設計時に予測した範囲内で推移していることから、30年経過した状態でも積層ゴムは設計通りの免震性能を有し、地震に対する優れた安全性能を維持していることが確認できました。また、本実験は、顧客、アナリスト、学協会・大学関係、マスコミ等へ広く案内したところ、顧客を中心に多数の参加希望の申し入れがあり、2016年11月に計14回にわたり公開実験を開催し、延べ700名を超える方々が参加しました。
詳しくは、免震チャンネル(自由振動実験動画)をご覧ください。
https://www.menshin-okumura.com/channel/
- 自由振動実験の概要
-
-
油圧ジャッキで10cmの強制変位を与える
-
ジャッキを解放し、建物が自由振動
-
自由振動実験装置(200tジャッキ・2基)
-
載荷状況
-
微振動抑制機能を併せ持つ
「オールラウンド免震」を開発
免震構造は、人が感じない程度の微細な振動の影響を受け易いため、精密機械や電子顕微鏡などを使用する生産・研究施設に適用する場合には微振動対策が必要となります。そこで、微振動エネルギーを吸収する「微振動対策ダンパー」を従来の免震装置に組み合わせて、大地震時の安全性と平常時の微振動抑制機能を併せ持った高性能な免震システム「オールラウンド免震」を開発しました。
精密微細加工を行う日進工具株式会社仙台工場開発センター(2019年完成)に「オールラウンド免震」 が採用されています。
微振動抑制機能が日々の研究開発を支えるとともに、2021年に発生した福島県沖地震(M7.3、最大震度6強)では免震機能が効果を発揮して人的・物的被害を防ぎました。
詳しくは、免震チャンネル(オールラウンド免震動画)をご覧ください。
https://www.menshin-okumura.com/channel/
-
日進工具株式会社仙台工場開発センター
-
微振動対策ダンバー
日本免震構造協会から表彰
- 2008年
- 技術賞(灯台レンズ用免震装置)
- 2009年・2013年
- 作品賞(奥村記念館・ホテル近鉄京都駅)
- 2014年
- 功労賞(同会創立20周年記念)
- 2017年
- 普及賞(竣工後30年を経過した免震建物に設置された積層ゴムの経年変化)
-
灯台レンズ用免震装置
-
灯台レンズ適用例
水の子島灯台 -
ホテル近鉄京都駅