環境技術
[建築環境技術] 室内環境技術
シックハウス対策技術
~化学物質を放散する個所周囲を局所的に高温化し、効率的に処理~
健康な住生活は豊かな人生の基本です。室内の化学汚染を防いで安心で健康な住空間を提供します。シックハウス対策技術は様々なメニューで構成され、総合的な対策を行います。ベークアウト工法は、室内の温度を高めて化学物質放散源から化学物質を積極的に放散させてしまう工法です。局所ベークアウト工法は化学物質放散源周囲の温度だけを高めるので従来工法より使用エネルギーが少なく、壁や天井への再吸着も防げます。体育館やホールの床のように天井が高い場合に特に有効です。
総合的遮音性能検討システム
奥村組は、様々な経路から伝搬する音を予測して防止する、総合的遮音設計支援システムを開発しています。
技術研究所には、国内で初めてとなる側路伝搬音の実験ができる施設を設け、対策の効果を確認しています。
集合住宅やホテル、オフィスの会議室・役員室など、比較的高い遮音性能が要求されるような部屋では、本システムによる検討をお勧めします。
音環境プレゼンテーションシステム
株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、社長:奥村太加典)は、設計仕様から完成建物の音環境を再現し、試聴することができる「音環境プレゼンテー ションシステム」を開発しました。
- 背景
- 建物の設計段階においては、交通騒音や空調設備に起因する室内騒音といった様々な音源に対する遮音性能の他、室内で生じる音の響き方など、音環境について検討を行います。しかし、設計された音環境は、音の大きさをdB(デシベル)、遮音性能をD値やL値といった数値で表すため、一般の方には完成建物の音環境がイメージしにくいという問題がありました。
- 概要と特長
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完成建物の音環境を一般の方でもわかりやすく体感的に確認できるよう、設計仕様から完成建物の音環境をクラウド上で予測計算して再現し、試聴することができるシステムを開発しました。本システムの概要と特長は以下のとおりです。
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1.
次に示す6種類の音について試聴音を作成します(図-1)。 ①外部騒音に起因する室内騒音(交通騒音など外部騒音の聞こえ方) ②室間遮音(隣接する居室で発生する騒音の聞こえ方) ③建物内外からの敷地境界への騒音伝搬④空調設備に起因する室内騒音 ⑤床衝撃音 ⑥室内残響時間(室内で生じる音の響き方)
図-1 システム操作画面(機能選択) -
2.
使用する機器はマイク機能が内蔵されたモバイル端末と、試聴用ヘッドホンのみで、可搬性に優れています。また、予測計算をクラウド上で行うため、使用する端末のスペックに左右されず高い処理速度が得られます(図-2)。
図-2 システム機器と構成 -
3.
インターネットに接続可能な場所であれば試聴音を作成することができるため、打ち合わせ中に設計仕様の変更があった場合でもすぐに試聴音を作成して確認することができます。また、モバイル端末により、例えば交通騒音といった対象音をその場で収録(写真-1)し、試聴音を作成することも可能で、高い機動力を持っています。
写真-1 モバイル端末の内蔵マイクで対象音(交通騒音)を収録している状況
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- 今後の展開
- 本システムの機動力を活かして、事業主や設計者との打ち合わせ、VE提案などに積極的に活用していきます。
床衝撃音予測技術
集合住宅では、子どもの走り廻りやイスの移動による「床衝撃音」が、下階に聞こえるため、建物計画時に対策をとる必要があります。
奥村組では、床を加振した時の床版の揺れ方、天井懐(空気層)の共振現象などの研究を重ねて予測精度を向上させ、大型スラブでも精度よく予測できる技術を開発しました。要求性能に応じて最適な床衝撃音防止対策を提案します。