奥村組
COMPANY

トップメッセージ

先人たちの思いを継承し
全てのステークホルダーとともに
サステナブルな社会の実現を
目指します

株式会社 奥村組 代表取締役社長 奥村 太加典

継承されてきた創業者の思い

当社グループは、『「堅実経営」と「誠実施工」を信条に、社会から必要とされ続ける企業として、社業を通じ広く社会に貢献する』という経営理念のもと、土木・建築両事業に投資開発事業等を加えた総合インフラストラクチャー企業として、事業を全国で展開しています。経営理念に掲げる「堅実経営」と「誠実施工」は、創業者である奥村太平の「お客さまに安心してお使いいただけるモノを納め、長きにわたってお守りする」という強い信念がもとになっており、創業116年を迎える今日まで、奥村組DNAとしてしっかりと継承されています。
「堅実経営」を貫いてきたことで、財務の健全性を示す自己資本比率は業界トップクラスを誇っており、今後も健全な経営を維持しながら、お客さまにお引渡しした建設物のメンテナンス等を長期にわたって行い、建設会社としての責任を果たしていきたいと考えています。
「誠実施工」についても、先人たちから鉄則として引き継がれています。土木技術職として当社に入社した私も、諸先輩方から「手間やコストよりも、安全に、良いモノを造るには、どうしたら良いかを最優先に考えろ」と、徹底的に叩き込まれました。これは、お客さまに安心してお使いいただけるモノを提供するための大切な教えであり、施工に携わる全ての従業員が共有している価値観であると信じています。
今後も創業時からの思い、理念を胸に経営に努めるとともに、これら“奥村組DNA”を後世へ受け継いでいきます。

当社グループが培ってきた強み「技術力」「人材力」「提案力」

当社グループには、大きく3つの強みがあります。一つ目は、国内トップレベルのトンネル技術や免震技術をはじめとする高い技術力です。
トンネル技術については、1965(昭和40)年に日本初の泥水式シールド工法「OCMS工法」を開発して以来、国内外で施工実績を積み重ね、シールド工事の施工延長は、国内トップレベルの実績を誇っています。加えて、シールドマシン等を製作するグループ会社も保有しており、技術優位性の高さを自負しています。
免震技術については、地震大国である日本において、必ずこの技術が求められる時代が来るとの信念のもと、1980(昭和55)年に他社に先駆けて研究に着手し、1986(昭和61)年には日本初の実用免震ビルとなる当社技術研究所管理棟を完成させました。そして、完成から現在に至るまで、この管理棟そのものを人工的に揺らす自由振動実験を定期的に実施し、完成から30年以上経過しても免震装置の性能が確保され、十分に安全性を維持していることを確認しています。このような実証実験データを保有しているのは、いち早く実用免震ビルを完成させ、それを保有している当社だけであり、この強みを活かして、免震技術のさらなる高度化に向けた研究を続けています。
二つ目は、施工管理力・対応力=“現場力”の高さに象徴される「人材力」であると考えています。建設業は、工場での単一・大量生産が可能な製造業などとは異なり、現地での単品受注生産が基本であり、発注者や協力会社、調達先などのさまざまな関係者と連携し、安全かつ要求された品質を確保しつつ、工事を進めていかなければなりません。そのため、施工管理を担う“人”には、高い“現場力”が求められます。
例えば、当社が得意分野とする鉄道工事は、営業中の鉄道路線の周辺や直上・直下等で工事を行うケースが多々あり、万一、工事関係者や工事機械・設備等が、走行中の列車や電線等に接触するなどの事故が発生すると、大きな問題になるため、非常に高いレベルの現場管理が求められます。こうした難しい工事において、お客さまである鉄道会社から高い評価をいただけているのは、当社の“現場力”の高さの表れであると思います。
また、建築事業では、近年、建設ラッシュが続く大型物流倉庫を当社でも数多く手がけています。しかし、当社が初めて施工した物流倉庫は、お客さまの要求レベルに対する理解が十分ではなく、手戻りが発生するなど、決して成功とは言えないものでした。この苦い経験を糧に、物流倉庫特有の要求品質に対応した施工技術を確立し、全社に展開するなど研鑽を続け、今ではお客さまに大変満足いただける品質を実現する力を身に付けることができ、建築工事における得意分野の一つとなりました。
三つ目は、社会のニーズに柔軟に対応する提案力です。現地での単品受注生産という建設業ならではの生産過程において、当社グループはお客さまのニーズに柔軟に対応する提案力を磨いてきました。近年においては、社会のニーズとしてESG/SDGsへの取り組みの重要性が世界的に高まっています。これらに対応するべく、当社では例えば、脱炭素社会の実現に向けた次世代建築「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の展開を図っていきます。2020年にZEB化改修した自社ビルである技術研究所管理棟の設計や、運用する中で得られた知見を活かし、ZEBリーディング・オーナーとして、建物の省エネルギー化やZEBの導入を検討されているお客さまへ積極的に提案していく考えです。
当社グループは、これまでの建設業の枠を超え、再生可能エネルギー事業や陸上養殖事業などへの取り組みを開始しており、多様化する社会のニーズに柔軟に対応する提案力で、社会に貢献していきます。

社長方針

経営理念のもと、社会の持続的な発展に貢献するために、社会のニーズの変化を見据えた事業・サービスを展開するとともに、ESG/SDGsに関わる取り組みを一体的に推進し、確かな技術と誠実な事業運営により社会の信頼に応え、成長し続ける企業グループを目指す。
そのビジョンの実現に向け策定した中期経営計画の目標達成のために、次の活動を推進する。

  1. 1. コンプライアンスの面では、法令順守の徹底を図るとともに、企業行動規範のもと、企業倫理に則った事業活動を推進する。
  2. 2. 安全衛生面では、進捗第一になりかねない施工を排し、「真の安全第一」を追求し、労働災害の撲滅を図るとともに、快適な職場環境を形成する。
  3. 3. 品質面では「顧客満足」「社会的信頼」の向上を目指し、品質管理を徹底するとともに、顧客のニーズに即した製品、技術、サービスを提供する。
  4. 4. 環境面では「人と地球に優しい環境の創造と保全」を目指し、環境汚染の予防、環境負荷の低減および環境の保全に取り組む。
  5. 5. 労働環境面では、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、働き方改革の推進および心身の健康の保持増進を図る。
  6. 6. 統合マネジメントシステムの適確な運用ならびに継続的な改善により、事業活動にともなうリスクを管理し、業務を効果的かつ効率的に遂行する。

全役職員は、この方針に基づき、自らの果たすべき職務あるいは責任に即した目標を設定し、主体性をもって達成に向けて取り組む。

「2030年に向けたビジョン」と「中期経営計画(2022~2024年度)」について

冒頭で申しました経営理念のもと、当社グループでは、今後も長期的に事業を継続し、社会の持続的な発展に貢献するため、将来のありたい姿を示す「2030年に向けたビジョン」を策定し、長期的な観点から経営に取り組んでいます。ビジョンの実現に向けた、第2のステップである「中期経営計画(2022〜2024年度)」では、前「中期経営計画(2019〜2021年度)」から引き続き、「企業価値の向上」、「事業領域の拡大」、「人的資源の活用」を事業戦略の基本方針とし、各種施策を推進しています。
「企業価値の向上」では、主に建設事業の生産性を向上するべく、DXの推進による業務の省人・省力化や業務プロセスの見直しにより現場での負担を軽減するなど、技術職員一人当たりの売上高や利益額の向上に取り組んでいます。生産性の向上は業績面での貢献以外に2024年4月からの時間外労働規制・社員のワークライフバランス実現等、多岐にわたる課題の解決にも結び付くことから、特に力を入れ取り組んでいます。
また、建設事業の根幹をなす技術力をさらに強化するべく、2022年4月に技術本部を設立し、より戦略的に中長期的な技術開発を推進する体制を構築するとともに、DXやカーボンニュートラルの実現に向けた技術革新への取り組みや社外との共同開発を充実させるなど、技術優位性の向上にも取り組んでいます。
「事業領域の拡大」では、土木事業、建築事業に並ぶ第3の柱を育てたいと考えており、不動産事業の強化とともに、特に新規事業の拡大に注力しています。気候変動を含むサステナビリティ課題の解決にもつながる取り組みとして、バイオマス発電事業を推進しており、北海道石狩市の発電所が2023年3月に、福島県平田村の発電所の1号機が2022年5月に、2号機が2023年4月にそれぞれ営業運転を開始しています。
その他、夏秋いちごの栽培・出荷事業や水質浄化技術を活用したフグやエビの陸上養殖事業にも取り組んでいます。いずれもスモールスタートしたばかりの段階ではありますが、これらの事業は、海外からの輸入に依存している食料の問題、一次産業の従事者が減り続けている問題など、社会課題解決にも貢献できますので、グループ内の体制も整えながら、今後伸ばしていきたいと考えています。
「人的資源の活用」については、多様な人材が活躍できるよう、人事制度を充実させるとともに、社員が私生活とのバランスをとりながら能動的に働けるよう、「フレックスタイム制」を積極的に活用できる環境を整備するなど働き方改革を推進しています。その中でも私が重要視しているのが、男性社員の育児休暇取得率の向上です。これまでの取得率は、低水準にとどまっていたことから、取得を促すべく、昨年に制度や環境を整備しており、今後継続して取得率100%を達成したいと考えています。
「中期経営計画(2022〜2024年度)」では、財務目標および非財務目標を掲げており、財務目標については、2024年度における売上高2,800億円、営業利益190億円、経常利益200億円、連結ROE8%以上と設定しています。建設業界は資機材価格高騰の影響を受けるなど、厳しい経営環境に置かれていますが、事業戦略に掲げた各種施策や資本政策を推進することにより、目標達成を目指します。
非財務目標については、脱炭素社会の実現に向けた取り組みにおける数値目標を掲げており、再生可能エネルギー由来電力の安定供給をはじめ、施工段階におけるCO2排出量削減施策の推進、また、施工した建物を使用する時において排出されるCO2を抑制するべく、設計施工建物において当社グループの省エネ技術を活用するなどの取り組みを推進しており、脱炭素社会実現に向けた貢献も進めています。

サステナビリティ課題への対応について

平時における社会課題とその対応としては、日本政府が進める国土強靭化や防災・減災への取り組みに対するレジリエントなインフラ整備、気候変動に伴う気温上昇等に対する環境に配慮した事業の推進、建設業における労働人口の減少に対する働き方改革の推進などが挙げられます。
私たちが目指す「2030年に向けたビジョン」と、社会課題の解決に向けた取り組みは、方向性が同じであるため、さらなる価値創造を行っていくことで、これらの社会課題の解決に貢献できるものと考えています。
現在、投資開発事業で推進している再生可能エネルギー事業や陸上養殖事業等は、今後市場の拡大が見込まれる分野であり、建設事業とのシナジー効果が期待されます。これまでの土木事業・建築事業に加え、第3の柱として、投資開発事業を拡大していくことで、さらなる価値を創造し、それをバランスよく経営資源に再投入することで、企業価値向上サイクルを継続的に循環させていきます。
また、平時にとどまらず、大規模な自然災害発生等による有事の際にもしっかりと社会的使命を果たすことが重要です。過去の阪神・淡路大震災や東日本大震災においては、当社を含めた建設業界全体で復旧作業に全力を尽くしてきました。今後も、いざという時にしっかり対応できる企業でありたいと考えています。

2030年に向けた抱負

当社グループは、社会の持続的な発展に貢献するために、社会のニーズの変化を見据えて事業・サービスを展開するとともに、確かな技術と誠実な事業運営により、成長し続ける企業グループでありたいと考えています。そのためには、「2030年に向けたビジョン」として掲げている「企業価値の向上に努め、業界内でのポジションを高める」、「持続的な成長に向け事業領域を拡大し、強固な収益基盤を築く」、「人を活かし、人を大切にする、社員が誇れる企業へ」を目標に、未来に向かって事業を力強く推進してまいります。
建設の道に近道はありません。目標へたどりつくための「地道」というただひとつの道を、私たちは一歩一歩、確実に前進していきます。引き続き、皆さまのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

一般社団法人 日本建設業連合会
ENAA 一般財団法人エンジニアリング協会
公益社団法人 土木学会
一般社団法人日本建築学会
一般社団法人 日本建設業連合会
ENAA 一般財団法人エンジニアリング協会
公益社団法人 土木学会
一般社団法人日本建築学会