奥村組
SUSTAINABILITYサステナビリティ

3つの取り組み

特集3 ~海外プロジェクト紹介~台湾の地底で輝く奥村組

奥村組は、2001年の台湾支店開設以降、これまで15件、金額にして860億円以上のプロジェクトに関わってきましたが、とりわけシールドトンネル工事において、その存在感を示してきました。これまで携わってきたトンネル延長は42kmに及び、台湾ではトップクラスの実績を誇ります。日本で長年培ってきたシールド工法の技術と経験を、異国の地で存分に活かすことで、企業として成長するとともに、台湾社会の発展に貢献することを目指します。

1台湾での軌跡

  • voice当社の2030年に向けたビジョンである「人を活かし、人を大切にする、社員が誇れる企業へ」。これを台湾の地でも実現したいと考えています。まずは「より着実な施工体制の確立」と「さらなる市場競争力の強化」が当面の課題であると捉え、管理手法の見直しや営業戦略の策定に取り組んでいきます。

    台湾支店長 深井 亨

  • エリア1首都である台北エリアと、台湾の玄関口である桃園市で、あわせて8件の地下鉄プロジェクトに参画してきました。中でもMRT空港線プロジェクトでは、滑走路直下を含む7.2kmのトンネルを泥土圧式シールド機8台を駆使して施工した技術力が認められ、台湾では「台湾行政院金質奨特優(2010年)」を、日本では「エンジニアリング協会エンジニアリング功労者賞〈国際協力部門〉(2011年)」を受賞しました。

  • MRT空港線

エリア2台湾電力の地下ケーブルトンネル工事など、現在2件のプロジェクトが進行中です。台湾中西部にはシールド施工が非常に困難な玉石層が広く分布しており、この地質を技術力でいかに克服するかが大きな鍵となります。

  • 台湾電力大潭シール
  • 宝山シールド

エリア3台湾第二の都市、高雄市での地下鉄プロジェクトでは計10km以上のトンネルを施工し、高雄市初の地下鉄建設に貢献しました。

  • 台湾電力七股シールド
  • 高雄MRT橘線

2技術で貢献

MRT空港線プロジェクトでは、シールドマシンのビット温度監視技術や圧送管排土技術など、後に日本・台湾の両国で特許を取得した技術を開発することにより、困難な地質条件をクリアし、工事を無事成功に導きました。
また台北MRT萬大線プロジェクトでは、さまざまな施工条件が制限されるなかで、台湾初のジャッキアップ&スライド工法を採用し、工期の大幅な短縮に成功しました。これにより関係各所から高い評価を得るとともに、今後の地下鉄工事の施工方法に新たな選択肢が加わることになりました。

3国籍や年齢、性別を超えた団結力

台湾各地で働く社員84名のうち、30歳以下が31名、女性が22名、日本人が19名と、年齢や性別、国籍の異なるメンバーが一丸となって業務を遂行しています。このような環境では社員それぞれの多様性が活かされ、各自の能力を最大限発揮できるような体制を整えること、すなわちダイバーシティを推進する取り組みそのものが、直接的に組織力および現場力の強化、ひいては海外事業の成長に直結すると信じています。

4現場紹介:宝山シールド工事所

本工事は、世界最大級の半導体メーカーであるTSMCの工場建設用インフラを整備するもので、河川切り回し用と水道管・汚水管敷設用の計3スパン約3kmのトンネルを、シールド工法により築造するものです。場所は、台湾半導体産業の中枢である新竹科学園区であり、まさに台湾経済を支える大黒柱の一部となる工事です。「ムーアの法則※」に代表されるように、半導体産業は時間が非常に重要視されることから、前例のない厳しい条件にて工期が設定されています。
そんな中で当社は類似工事をすでに台湾で施工しているという強みや、シールドマシンメーカーである「奥村機械製作㈱」を子会社に有するという利点を最大限に活用し、工事入手からわずか7ヵ月で1台目のシールドマシンを発進させるという重要なマイルストーンを達成することに成功しました。
今後も当社の技術や強みを活かして、台湾社会に貢献していきたいと思います。

※コンピューターの処理能力やメモリーチップの集積度が、短期間に指数 関数的に増えるとする考え方。

一般社団法人 日本建設業連合会
ENAA 一般財団法人エンジニアリング協会
公益社団法人 土木学会
一般社団法人日本建築学会