奥村組
SUSTAINABILITYサステナビリティ

3つの取り組み

特集2 技術開発 −現場への適用に向けて−

当社グループでは、社会の持続的発展に寄与するため、基礎工事、躯体工事、リニューアル工事等の各施工段階において、設計の合理化、生産性の向上、高品質化に資する技術の開発を進めています。
開発した技術については、順次現場への適用を図っています。

1アンカー自動削孔装置

既存RC構造物の補強工事に用いられる、あと施工せん断補強工法およびあと施工アンカーを用いた壁等の増設工法に適用できる2種類(大径用、小径用)の自動削孔装置を開発しました。本装置は、削孔計画(削孔位置、削孔深さ)に従って自動で削孔することで省力化、効率化が図れるとともに、粉塵飛散防止機構を具備していることから削孔作業時の作業環境の改善が図れます。さらに、事前に把握しきれなかった既存鉄筋に接触した場合は自動的に削孔を中止し、次の孔へ移動して削孔を継続するよう制御しているため既存鉄筋の損傷を軽減します。これまでに、下水道施設の補強工事2件に適用し、省力化、効率化および作業環境の改善を確認しました。今後も既存RC構造物の補強工事の生産性をより一層向上させる技術として積極的に提案していきます。

2マスコンクリートのパイプクーリング制御システム「ひえたくん®」

マスコンクリート(部材断面の大きなコンクリート)の温度ひび割れを抑制する工法であるパイプクーリングについて、クーリング水の流量・流方向を自動制御するシステムを株式会社アクティオと共同で開発しました。本システムの名称を「ひえたくん®」として商標登録し、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)に登録しました。
本システムは、コンクリート温度を管理目標値に漸近するようにクーリング水の流量を自動調整するとともに、クーリングパイプの入口側と出口側のコンクリート温度差が小さくなるようにクーリング水の流方向を自動で切り替えることで、セメントの水和熱によるコンクリートの温度ひび割れを防止するものです。また、WEBモニタリングシステムにより、遠隔地からクーリング状況を確認できるため、コンクリートの温度管理業務の省力化も図れます。
今後は、温度ひび割れの発生が想定されるコンクリート構造物の品質向上および省力化に寄与するシステムとして普及・展開していきます。

パイプクーリング制御システムの概要

3より大きな引抜き抵抗力を評価できる場所打ちコンクリート拡底杭工法

より大きな引抜き抵抗力を評価できる場所打ちコンクリート拡底杭工法「奥村・丸五式引抜き抵抗杭工法(OMR/B-2)」を丸五基礎工業株式会社と共同で開発し、(一財)ベターリビングの評定(CBL FP020-21号)を取得しました。本工法は、これまで考慮されなかった拡底部側面の傾斜による引抜き抵抗力を評価できるため、従来工法よりも杭の軸径部のスリム化や、杭長の短縮が可能となります。これにより、掘削土量や打設するコンクリート量、施工時に使用する安定液量などを削減できるため、コストや地球環境への負荷の低減に繋がります。今後は、超高層建物や高さに対して幅が狭い中層建物などの合理的な杭工法として積極的に適用していきます。

  • OMR/B-2掘削機
  • 引抜き抵抗力の構成

4コンクリート散水養生 自動認識ロボット

コンクリートの散水養生における乾湿状況を自動で認識できる「コンクリート散水養生 自動認識ロボット」を、ユアサ商事株式会社と共同で開発し、実用化に向けた実証試験を行いました。
コンクリート打設後の散水養生は、コンクリートの強度や仕上がりを左右するため、乾湿状況の管理が非常に重要です。しかし、適切な湿潤状態を維持するには目視による常時確認が必要であり、大変な労力がかかるうえ、養生期間において湿潤状態が維持されていることを定量的に自動記録する技術の開発も進んでいないことから、効率的な湿潤養生管理を実現する技術の開発に着手しました。「コンクリート散水養生 自動認識ロボット」は、桐生電子開発合同会社と共同開発した光学センサ(特許出願中)を搭載しており、コンクリート表面の乾湿状況を定量評価し自動認識することで、コンクリート打設後の湿潤養生管理を適切に行うとともに、点検・記録作業の省人化を可能とします。今後は、建設現場に即した操作性や耐久性の向上、自動散水設備との連携およびロボットの小型化等の改良を進め、2024年度からの一般販売(ユアサ商事株式会社による)を目指します。

  • センサ搭載型自律走行式ロボット
  • コンクリート散水養生 自動認識ロボットの概要
一般社団法人 日本建設業連合会
ENAA 一般財団法人エンジニアリング協会
公益社団法人 土木学会
一般社団法人日本建築学会
一般社団法人 日本建設業連合会
ENAA 一般財団法人エンジニアリング協会
公益社団法人 土木学会
一般社団法人日本建築学会