ニュースリリース
山岳トンネル工事の安全対策として「肌落ち監視システム」を開発 ~切羽画像から肌落ちの予兆をAIで検知~
株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、代表取締役社長:奥村太加典)と株式会社システム計画研究所(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:門脇均)は、山岳トンネル工事の切羽における肌落ち※1災害を防止することを目的として、切羽鏡面の吹付けコンクリート(以下、鏡吹付けコンクリート※2)のひび割れを検出して肌落ちの予兆を知らせる「肌落ち監視システム」を開発しました。
また、本システムを山岳トンネル工事に適用して実用性を確認しました。
※1 トンネルを掘削した前方の面から岩石等が落下すること
※2 トンネルを掘削した前方の垂直面に吹き付けたコンクリート
【背景】
厚生労働省が労働災害の防止を図るため策定した「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」に、事業者が講じることが望ましい事項として「切羽監視責任者の選任」や「具体的な肌落ち防止対策」、「切羽監視責任者による切羽作業中の切羽の常時監視」などが挙げられています。切羽での作業にあたっては、労働者の立入を原則禁止するとともに、機械化も進めていますが、発破掘削における爆薬装填、結線など、切羽に立ち入らざるを得ない作業があります。そのため、切羽における肌落ち災害の防止を目的として、目視では確認しきれない鏡吹付けコンクリートのひび割れ変状を速やかに検出し、切羽監視責任者による監視を補助する「肌落ち監視システム」を開発しました。
【概要・特徴】
本システムは、切羽での作業中にカメラで撮影した切羽画像から、鏡吹付けコンクリートに発生したひび割れをAIで検出し、肌落ちの予兆を警告するシステムです。吹付けコンクリート供試体や鏡吹付けコンクリートなどのひび割れ画像を教師データとして作成したAI学習モデル(図-1)を用いて、86%以上の高い精度でひび割れを検出することができます。(図-2)
【現場適用】
長崎県発注の主要地方道厳原豆酘美津島線道路改良工事((仮称)箕形トンネル)に本システムを適用・試行しました(図-3)。切羽監視責任者が切羽に極力接近することなく、40~60秒程度でひび割れ検出結果を表示でき、肌落ち監視を補助するシステムとして有効であることを確認しました。
【今後の展開】
今後は、本システムを現場へ積極的に展開し、肌落ち災害防止対策の有効なツールの一つとして活用していくとともに、本システムの高度化に向けた検討課題の抽出やさらなる改善に取り組む予定です。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社奥村組 技術本部 技術研究所
浜田 元(はまだ はじめ)
TEL:029-865-1521
FAX:029-865-1522
E-mail:hajime.hamada@okumuragumi.jp