ニュースリリース
プレキャストPC床版の新しい継手工法「Zスパイラル工法」を開発 ~十分な疲労耐久性を確保しつつ作業時間の短縮を実現~
株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、代表取締役社長:奥村 太加典)と昭和コンクリート工業株式会社(本社:岐阜県岐阜市、代表取締役社長:村瀬 大一郎)は、高速道路橋に使用されることが主流となっているプレキャスト※1PC(プレストレストコンクリート)床版※2を、矩形状の特殊スパイラル筋「Zスパイラル筋」を用いて接合する継手工法「Zスパイラル工法」を開発しました。
これにより、十分な疲労耐久性を確保しつつ作業時間の短縮を可能とします。
※1:工場であらかじめ作られたコンクリート部材のこと。
※2:あらかじめ圧縮応力(プレストレス)を加えたコンクリートで製作した自動車や人などの荷重を直接受ける部材のこと。
なお、本工法で接合したプレキャストPC床版は、輪荷重走行試験※3により100年に相当する耐久性を有することが証明され、この性能証明書を株式会社高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)へ提出し承認されました。
※3:大型車による繰り返し走行を模擬した試験で、床版のひずみや変形を計測することによる道路橋床版破壊メカニズムの解明や、新しいタイプの床版、各種補修補強工法の効果(疲労耐久性)評価を目的とする。
【背 景】
東日本・中日本・西日本高速道路株式会社によると、2030年頃には高速道路の80%超が供用から30年以上経過するとのことで、老朽化の進行による大規模更新の必要性が高まっています。今後多くの高速道路で、既存のコンクリート床版をプレキャストPC床版に更新する床版取替工事の実施が見込まれることから、床版取替にかかる交通規制の最小化につながる工期短縮を実現する技術の開発が望まれています。
床版取替工事で標準工法とされているループ継手(図1を参照)は、ループ筋内に橋軸直角方向鉄筋を配置する必要があり、この作業に多くの時間と労力を要していました。
そこで当社は、十分な疲労耐久性を確保しつつ作業時間の短縮を可能とする「Zスパイラル工法」を開発しました。
【工法の概要】
本工法は、ループ筋に橋軸直角方向鉄筋を通す代わりに、矩形状の特殊スパイラル筋「Zスパイラル筋」をループ筋の上部に差し込んで結束固定するものです。本工法の特長は以下の3つです(図2、図3を参照)。
・特長①:作業時間の短縮が可能
Zスパイラル筋とループ筋の結束は容易であるため、標準工法に比べて配筋にかかる作業時間が大幅に短縮できます。
・特長②:足場の設置や作業ヤードの確保が不要
標準工法の場合、橋軸直角方向鉄筋を通すために足場の設置や作業ヤードの確保が必要となりますが、Zスパイラル筋は床版の上面から差し込むことができるため、それらを要しません。
・特長③:特殊コンクリートの使用が不要
標準工法から他の工法に変更する場合、床版を接合する間詰めコンクリートに特殊コンクリートを使用することがあります。本工法では標準工法と同様、工場出荷時に品質が保証された設計基準強度50N/mm2のコンクリートを使用するため、特殊コンクリートの場合に発生する現場での練り混ぜ作業、強度試験などの手間が発生しません。
【今後の展開】
今後、高速道路の床版取替工事に本工法を積極的に提案し、普及・展開を図っていきます。
◆会社概要
株式会社奥村組|OKUMURA CORPORATION (https://www.okumuragumi.co.jp/)
所在地 :大阪市阿倍野区松崎町2-2-2
代表者 :代表取締役社長 奥村 太加典
事業内容:総合建設業およびこれに関連する業務
昭和コンクリート工業株式会社|SHOWA CONCRETE INDUSTRY(https://www.showa-con.co.jp/)
所在地 :岐阜県岐阜市香蘭1-1
代表者 :代表取締役社長 村瀬 大一郎
事業内容:プレストレストコンクリート橋梁の設計製造施工およびプレキャストコンクリート製品の設計製造販売
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社奥村組
土木本部 土木・リニューアル技術部
守屋 裕兄(もりや ひろしげ)
TEL:06-6625-3907
FAX:06-6621-9315
E-mail:hiroshige.moriya@okumuragumi.jp
昭和コンクリート工業株式会社
営業本部 開発部 開発課
国井 優嗣(くにい ゆうじ)
TEL :058-255-3337
携帯:080-4064-1350
FAX : 058-252-3177
E-mail:kuniiyas@showa-con.co.jp