建築事業
建築本部長メッセージ

建築事業においては、社会のニーズや変化を的確に捉え、これまで培った技術力の活用・研鑽により、お客さまにご満足いただける安全で快適な建築物を構築するとともに、未来を見据えた持続可能な社会の実現を目指しています。昨今は、建設資材価格の高止まりや輸送コスト・労務費の上昇、少子高齢化による労働力不足、時間外労働の上限規制など多岐にわたる課題に直面していますが、組織力の強化や業務の分業化、積極的なICTの活用などを進め、一層の生産性向上を図るとともに、次世代への技術継承を見据えた人材育成の推進により現場力を向上させ、課題解決に向けて邁進していきます。2025年度も引き続き建設物価の動向に注視が必要な状況ですが、「堅実経営」と「誠実施工」の信条のもと、新たに策定した「中期経営計画(2025~2027年度)」の目標達成に向けて取り組みます。
事業概要
持続可能な社会の実現を目指し、免震をはじめとする防災関連技術や環境負荷を低減する省エネルギー技術などの採用を推進するほか、木質構造やウェルネス関連の技術にも積極的に取り組み、地球環境にやさしく、安全で快適な建築空間を提供します。オフィスビル、公共施設、商業施設、物流施設、共同住宅など、さまざまな用途の建物に求められるニーズを的確に把握したうえで、建築物の企画から設計、施工、アフターケアまでの全てのステージにおいて高品質なサービスを提供します。
建築事業の業績(連結)
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売上高・売上総利益(率)
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売上工種別内訳(2024年度)
前中期経営計画(2022~2024年度)の成果
前中期経営計画(2022~2024年度)の基本方針における「企業価値の向上」と「人的資源の活用」について、建築事業として取り組み、以下の成果が得られました。「企業価値の向上」については、技術優位性の向上を目指してICT の活用による業務効率化に取り組み、生産性の向上を図るとともに、環境に配慮した設計や技術提案力の高度化を推進しました。その結果、2022~2024年度にかけて売上高、売上総利益ともに順調に増加しました。前中期経営計画(2022~2024年度)の最終年度に当たる2024年度の建築事業の業績は、売上高が1,855億円、売上総利益が192億円となり、2023年度よりそれぞれ12%、48%増加しました。「人的資源の活用」については、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、就労環境や処遇の改善を図りました。また、新設した業務支援部署を中心とする現場業務の分担による業務効率化の取り組みのほか、人材育成のために若手職員の教育システムを改善するとともに、安全を最優先する企業風土の醸成を図るために安全意識の強化に向けた施策を実施しました。
事業環境/課題認識
事業環境として、再開発事業や半導体関連施設、物流施設をはじめとする旺盛な設備投資を背景に、民間投資は堅調に推移する見通しです。そのようななか、建築事業では次のような課題があると認識しています。生産性向上については、業務の分業化やICT の活用などにより一定の成果が上がっていますが、技術系職員数はいまだに逼迫しており、人材の確保が喫緊の課題となっています。また、技能労働者についても一部工種で需給バランスによる人員不足がみられるため、施工対応力を見据えた計画的な事業推進が求められています。
- 日本初の実用免震ビルをはじめ、研鑽を積み重ねた独自の技術力
- さまざまなニーズに対応できる提案力と組織的シナジー
- 「誠実施工」を貫く熱意と人材力
- 労働人口減少による施工力の低下
- 時間外労働の上限規制による労務需給の逼迫・労務費の上昇
- 建設資材価格の高止まり
- 安全・品質トラブル等の発生
- 地震や風水害等の自然災害の激甚化
- 再開発事業や半導体関連、物流施設への設備投資をはじめとする堅調な建設投資
- 気候変動への対策となる建築物の省エネルギー化需要の増加
- ICTの発展と建設技術への応用
中期経営計画(2025~2027年度)における重点施策
建築事業では3つの重点施策「次世代への技術継承を見据えた受注戦略」「安全・品質に関する重大なトラブルの抑制」「若手・中堅層の現場力の底上げ」によって事業規模を維持しつつ、将来の成長に向けて事業推進体制の強化を図ります。受注戦略においては、施工対応力を勘案しつつ、採算・生産性を重視した選別受注を徹底するとともに、次世代への技術継承を見据えて工事規模・建物種類等の適切なバランスを考慮したポートフォリオ分析に基づく営業活動を展開します。安全・品質については、重大トラブルによる損失を回避するため、設計と施工における管理状況等のモニタリングや職員への教育を徹底します。若手・中堅層社員の現場力(施工対応力や技術力など)の向上のためには、ジョブローテーションを実施するとともに、早い段階からのマネジメント力の育成に注力します。
2024年度の主な完成工事(建築)
文化施設:小千谷市ひと・まち・文化共創拠点ホントカ。(新潟県小千谷市)
物流施設:ニトリ幸手DC(埼玉県幸手市)
宿泊施設:ノボテル奈良(奈良県奈良市)
教育施設:追手門学院Academic Base(大阪府茨木市)
事務所・工場:大真空本社工場棟(兵庫県加古川市)
医療施設:済生会八幡総合病院(福岡県北九州市)